いよいよ開催日が迫ってきました。
DNAの二重らせん構造の発見から半世紀以上たった現在、究極の個人情報としてのゲノム情報の解読が注目されています。みなさんもご存じのとおり、1990年にスタートしたヒトゲノム計画(Human Genome Project)は 、13年後の2003年4月14日にヒトの全塩基配列の解読完了を達成しました。ジェームズ・ワトソンはこの計画の責任者を務め、アメリカ国立衛生研究所(NIH)と米国のセレラ社(Celera)が中心的役割を担いました。
ヒトの全ゲノム解読によってわかった、最も衝撃的なことは、ヒトの遺伝子の総数が予想されていたものよりもはるかに少なかったという事実です(20,000-25,000個程度)。このブログを読まれてきた読者の皆さんはお気づきかもしれませんが、ここでいう遺伝子は、タンパク質をコードしている(転写・翻訳を経てタンパク質ができるという意味)のことを言っています。
ヒトゲノム計画をわかりやすく言うと、ヒトの体の設計図まるごと一式を、ヒトの細胞にある核から取り出してきた、と表現できます。わたしたちはみな、たったひとつの受精卵が分裂・分化した結果、いまのような体になったわけです。そのため、ヒトの体を構成しているすべての細胞がもっているゲノム情報は共通なのです。
ヒトゲノム計画を支えたのは、シークエンシングとよばれる塩基配列を読むための技術と情報技術の飛躍的向上だといわれています。ヒトゲノム解読にかかる時間は、まさに日進月歩で短縮されており、コストも軽減されています。
特定できる個人のゲノム解読のさきがけとして、ジェームズ・ワトソンは、自らの血液を提供し、解読されたゲノム情報を2007年5月31日に公開しました。ワトソンのゲノムは、インターネットをとおして誰もがアクセス可能になっています。
http://jimwatsonsequence.cshl.edu/cgi-perl/gbrowse/jwsequence/?name=Sequence:NM_005516.3
2008年1月、あらたなゲノム解読プロジェクトが始動しました。それは、1000 Genomesという計画で、ヒトの遺伝的な多様性を調査するため、世界中の(少なくとも)1000人のヒトのゲノムを解読することを目標として掲げています。なんていう壮大な計画でしょう。この計画によって、日本人のゲノムとアメリカ人のゲノムとインド人のゲノムはどこが違うのか?ということが確実にわかってしまうわけです。
将来的には、わたしたちは、一人一人自分のゲノム情報をデータとして所有して、病院にかかるときは、病気と一緒にゲノムを診てもらうなんてことになるのかもしれませんね。
下は、TEDというサイトにある、ジェームズ・ワトソンのインタビュー映像(2005年)です。
〔文責 Y.I.〕
≪開催まであと3日≫
※この予告ブログは、東京大学立花ゼミ・見聞伝の学生が企画・運営しています。
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